CMO 最高マーケティング責任者とは? 2020年最新 | 職責・業務管掌・年収・採用方法などを整理

CMO特集

CMO (Chief Marketing Officer)、日本語で「最高マーケティング責任者」とは、企業のマーケティング活動を統括する上位の役員。

CMOの概要

CMOは、マーケティング部門あるいはマーケティング活動全体と企業経営の統合を担う。マーケティング部長より上位の取締役・執行役員級の経営レイヤーとして設置される場合が多い。

CEOや他の上級役員と協調し、その企業の経営戦略とマーケティング戦略・ブランド戦略が中長期に渡り一貫性を持って推進されるよう指揮する。またマーケティング部門のみならず、PR・ブランド・広告・R&D・CSなど複数の部門で行われる活動や企画の連携を行い、顧客向けのコミュニケーションに齟齬がないように計らう。

CMOがマネジメントする6つの対象領域

また、経営や株主に対して、マーケティング活動全体に対するアカウンタビリティを担う。マーケティングや広告活動のROIを測定し、その成果が財務上確認できるような連携の仕組みを構築し、運用する。

CMOが責任を持つ領域として、以下の3つが挙げられる。

CMOの管掌領域

CMO領域① マーケティング戦略

CMOは、CEOや他の上級役員と経営戦略に関する整合性を行いながら、経営資源を使って企業の製品・サービスが最も効率よく売れると思われる仕組みの構築を主導し、実際に遂行する。ただし、その関与度合いは企業の規模やブランドの数 (マルチブランド・シングルブランド)、グローバル化の度合いによって変わる。

マーケティング戦略は、以下のようなプロセスを経て行われる。

  1. 環境分析
  2. マーケティング課題の特定
  3. STP (セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)
  4. マーケティングチャネル設計
  5. 実行計画への落とし込み

さらにCMOは、必要に応じて市場調査や需要喚起といったR&Dを含む超上流工程から、販売後の接点の維持や活性化のような後工程までを指揮する。

これらの活動において、CMOは売上に責任を持つ場合と、持たない場合がある。

売上に責任を持たない場合は、認知獲得やリードジェネレーションまでを行いセールス部門にパスするような役割を担う。その場合、リード生成数や (CPOに対する) CPAといった中間指標をKPIとして持つ。

売上に責任を持つ場合では、マーケティング・リサーチからMD (商品開発)、広告、売上等、バリューチェーンの広い範囲に関与する。

CMO領域② 全社マーケティングエクセレンスの開発

ネットの普及によるデジタルマーケティングの発達やマーケティングに活用できるデータの増加、AIの進歩などを背景に、マーケティング業界では日々新たなツールや手法が生み出されている。

(スマホアプリに強いマーケティングスタジオのONNEが発表した マーケティングカオスマップ)

マーケティングのソリューションは膨大で、大企業向けからスタートアップ向けまで様々だ。しかもこの分野は技術の進歩が早く、次々に新しいソリューションが生まれるだけでなく戦略や勝ちパターンも刻々と変化している。

これらの動向に早く正確にキャッチアップし、積極的に自社のマーケティング・イノベーションを推進するのもCMOの重要な役割である。

特にデジタルマーケティングの分野では使用するツール・チャネル面での差別化が難しいため、日々現れるソリューションに数多くトライし、他社に先駆けてい実際に成果の上がるもの、自社に合うものを発見し、そのノウハウを組織能力として蓄積していく必要がある。加えて、それぞれのチャネルやその先にいる顧客のコンテキストに合わせたクリエイティブを生み出す感性もある程度は必要だ (実務はクリエイティブ・ディレクターが行うとしても)。

その意味では、マーケティングエクセレンスの開発は技術開発に留まらず、人材開発・育成といった側面までがCMOに求められる。

CMO領域③ 顧客コミュニケーション

近年、ソーシャルメディアやスマホの普及によって消費者同士が互いに繋がり、企業が提供するサービス・プロダクト・情報について積極的に情報発信・情報交換するようになった。また、世の中にはものが溢れ、市場が成熟し、機能や価格での差別化は次第に難しくなっている。

このような状況を背景に、マス広告によって企業が一方的に情報を流して消費者に刷り込む1990年代までのマーケティングは終焉し、マーケティング3.0 (フィリップ・コトラー) と言われる時代に突入している (マーケティング1.0は製品中心、マーケティング2.0は顧客中心)。

コトラーのマーケティング3i

CMOには、このような時代に対応すべくより高いイシューやCSV (creating shared value) を設定し、生活社に共感されるブランドづくりに企業全体をシフトされることが求められている。

このような活動はCSR (Corporate Social Responsibility) に対して BSR (Business for Social Responsibility) と呼ばれ CMO のみならずCEO にとっても大きな関心ごととなっている。

CMOの実態

現実のCMO管掌領域

「マーケティング」という用語は元来とても広い企業活動を指してる。日本マーケティング協会によると「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」とされている。

一方で、現実としてCMOが管掌するのは広告やプロモーションといった比較的狭い領域に特化している (Court, D The evolving role of the CMO. McKinsey Quarterly 2007) 。このことから、米国ではより上位の役職として2017年にコカ・コーラ社で CGO (Chief Growth Officer) が設置され広がっていると言われる。

国内におけるCMOの管掌領域としても、やはり 広告・プロモーション戦略が中心 となる。

上記に加え、コミュニケーション・ブランド・リサーチといった領域がCMOの責任範囲に含まれる。マーケティングコミュニケーションやブランドが別組織としてCMO管掌から独立している場合や、広報・PR部門を配下に持つ場合、セールス部門と統合されている場合など企業によって様々である。

CMO設置の効果

日本マーケティング学会 が2019年に発表した論文によると、国内上場企業の7.9%が役員級のCMOを設置しているという。また、2016年〜2018年に渡って行われた同学会の調査では、CMO設置企業はCMOを設置しない企業に比べて4.7%の売上増収効果を持っていた。

CMOの在籍期間

2010年代にエグゼクティブコンサルティングや人材派遣で有名な  Spencer Stuart が行ったCMOに関する調査では、CMOの平均的な在籍期間は22.9ヶ月とされている。

これは、CEOの平均在籍期間53.8ヶ月に比べて半分以下と非常に短い。

業種別では、特にアパレル (平均在籍期間10ヶ月)、食品 (平均在籍期間12ヶ月)、通信 (平均在籍期間15ヶ月)のCMO在籍期間が短くなっている。逆に金融 (平均在籍期間34ヶ月)、IT (平均在籍期間29ヶ月)、メディア (平均在籍期間29.3ヶ月) などはCMO在籍期間が長くなっている。

 

CMOの年収

国内CMOの年収について統計的なデータは存在しない。

IT業界のエグゼクティブ採用に詳しいエージェントへのヒアリングによると、マーケターの年収は500万〜600万円程度。CMOクラスで800万〜1,500万円程度が多いとのこと。

CMOは大企業だけでなくベンチャー企業でも多く募集があり、採用する企業規模によって年収は大きく変わるだろう。

また、他の職業と同様に外資系の方が役員クラスの年収は高く、CMOクラスになると2000万円以上での募集も少なくないようだ。2000万円以上のクラスでは、経験した広告費の規模が2桁億円以上と大きく、より広範な知識とマネジメント能力、さらには経営能力が求められるため、募集に対して圧倒的に人材が足りない状況であるという。

CMO人材の採用

エグゼクティブエージェントやヘッドハントを使うのが一般的だろう。ただし、非常に需要が高く候補人材が希少なため、高額な募集をかけても何年も採用できない、といった声も聞かれる。

CMOは、前述の通り広範な業務管掌を持つため、必要人材のJDを定義するのも、採用の目利きをするのも非常に難しい。規模や業種、自社の商材、販売チャネルの強み等によって適切な人材は異なるため、可能性ある多くの人材に触れることで適切な人材を見極めたい。

また、社内の有望人材をCMOとして登用し、シェアボスのようなサービスを使って不足するスキルを外部人材で補ったり、教育させるのも有効だ。

シェアボスのCMO人材

シェアボスでは、CMO経験者やCMO候補となる人材を週1回からおよそ50%コミットまでアサインできる。

以下に、マーケティングに精通したシェアボス人材を紹介する。

全てのCMO候補を見る

CMOのキャリアパス

CMOは、前述の通り広範な業務管掌を持つため、「CMOにはこういったキャリアパスが必要だ」とか「このスキルを持っていればCMOになれる」という単純なものはない。

広告・プロモーションは戦略やチャネル、クリエイティブに広告費という大きなレバレッジがかかる。また、広告費が増えればマーケティング・チャネルもより複雑になり、マネジメントすべき工程もサービス設計前〜顧客化後まで非常に長くなる傾向にある。

そのため、過去に統括したプロジェクトでのマーケティング費用・広告費用の大きさが自社に照らして適切であることはひとつの条件になるだろう。広告予算予算規模の小さいベンチャーで、大企業のCMOを採用しても機能しないし、その逆もしかりである。

また、採用する側の商材や顧客 (BtoB or BtoC) に親和性がある方が好まれるため、目標となる企業やジャンルがあればキャリアパスの形成上意識しておくべきだろう。

CMOの平均年齢

CMO Magagine の調査によると米国CMOの平均年齢は43歳と言われている。マーケティングにおけるテクノロジーの重要性が高まってきていることから、今後は若いデジタル世代のCMOが次々と生まれてくるだろう。

日本ではCMOの数自体が少ないこともあり、統計的なデータは存在しない。

CMOに求められる知識・資質

CMOには、当然ながらマーケティングに関する深い知識が必要となるが、ここではそれに加えて必要となる知識を挙げる。

ビジネスドメイン知識

CMOには、当該企業のマーケティングに関するビジネスドメイン知識が求められる。企業によって異なるが、例えば物流・製造・人事・R&D・テクノロジー動向といったように、その企業が属する事業ドメインについての具体的な内容や、近い将来どのように変化するかといった知見、さらには顧客の消費動向やマインドセットの変化などについての知識があることが望ましい。

デジタルマーケティングとテクノロジー

また、近年マーケティングにおけるデジタルの比率が高まってきていることから、ネットやテクノロジー、システムに関する知識が必須となっている。

Cookie や HTTP などの基礎的なネット知識、RTBやAD Serverなどデジタル広告に関する知識、CRMやMAのような顧客・リード管理ツールに関する知識などである。

また、AIによる需要予測や画像解析による顧客導線や流量解析など最新技術のマーケティング利用も日進月歩で進んでいるため、自社に役立ちそうなテクノロジーに常に関心を払い、獲得していく姿勢が求められるだろう。

経営・財務に関する知識

マーケティングのROIや説明責任を果たし、経営陣や株主とコミュニケーションを図っていくため経営や財務に関する最低限の知識は必須となる。

また、経営者とのコミュニケーションから自社の哲学を知り、共感することもブランドの責任者として必須となるだろう。

CMOのキャリアパス

CMOのバックグラウンドが必ずしもマーケティングではないケースも多い。また、ひとくちにマーケティング畑といっても広告・PR・セールス・分析など多様であり、これらを全てこなしてきた人材は少ない。

近年ではマーケティングにおけるデジタルの重要性が高まってきていることから、テクノロジーやエンジニアリング、IT系コンサルティング系のバックグラウンドを持った人材がCMO採用マーケットで注目されている。

 

マーケティングスタイルとCMOの役割

マーケティングに様々なジャンルがあるように、ひとくちにCMOといっても得意とする領域や経験領域は異なる。CMOの採用、もしくはCMOとしての就職においては、採用する企業と採用される個人のスキルセットの整合性に留意する必要がある。

マルチブランド vs シングルブランド

単一もしくは少数のブランドを扱う企業のCMOと、 P&G (アリエール、パンパース、ジレット、パンテーン) などマルチブランドを行う企業のCMOでは役割が異なる。

マルチブランドの企業では、個々の製品・サービスのブランドマネージャーがCMOに匹敵するほどの大きな権限を持ち、戦略や意思決定を行う。そういった企業のCMOは、企業ブランドが商品ブランドの横串調整やバランスをどうするかといったブランドアンブレラ的発想の戦略設計やマネジメントが求められる (自動車メーカーなど)。または、商品ブランドについてはブランドマネージャーに任せ、CMO自身は企業ブランドを管掌するというようなタイプも存在する (P&Gなど)。

BtoC vs BtoB

一般消費者を顧客としてビジネスを行うBtoC (Business to Customer) と、法人を顧客としてビジネスを行う BtoB (Business to Business) ではマーケティングのスタイルが異なる。

CMOは、所属する企業や担当するプロダクトによって適した手法に精通していることが必要となる。

大企業におけるBtoCのマーケティングは、巨額の費用を投じたマス広告や大規模キャンペーンといった大きな露出を伴うものが多く、広告コミュニケーションや動線設計を効果的に行うためのノウハウが重要となる。一方、BtoBのマーケティングでは、マス広告などを多用して広く世の中にリーチするよりは、文脈やセグメントをより細かく定義してピンポイントでアプローチする手法が好まれる。

刈り取り vs 育成

マーケティングには、広告・キャンペーンのような短期的な売上を目標としたものと、ブランドロイヤルティ育成やコミュニティマーケティングのような長期的な成果を目標としたものが存在する。

CMOは、自社の製品・サービスの特徴と現状分析から、これらに応じて最適なマーケティング・ミックスを行うことが求められる。

マーケティングチャネル特性基本的には低単価・低関与商材ほど即断即決の割合が高まり、高単価・高関与商材の方が需要想起からコンバージョンまでの期間も長く、CPOも高くなる傾向にある。

また、購買頻度の低い商材 (引っ越しなど) はリテンションなど長期施策を軽視あるいは無視する傾向がある。

Digital vs Physical

CMOは、デジタルマーケティングと非デジタルマーケティング (4マス・リアル・OOH等) の両方の知見を持ち、それらを横断した動線設計ができることが求められる。

世界観・価値観

先ほど挙げらたマーケティング3.0の世界では、ブランドが掲げる社会的意義やビジョンといった、イシューの質が問われている。

CMOは、企業のミッション・ビジョンを深く理解し、自身もそれを体現する存在として調和する必要がある。

CMO人材の例

冒頭の通り、CMOを設置しているのは日本の上場企業のうち7.9%と非常に少ない。

そのため、広義のCMO人材である本部長・部長級を含めた広義のCMO人材をシェアボスの事例で紹介する。

コンカーマーケティング本部長 柿野 拓氏

SAPの子会社、クラウド経費管理ソリューション「コンカー」でマーケティング本部長を務める柿野氏は、シェアボスとしても様々な企業のマーケティングに関する相談に乗っている。

柿野 拓 / 外資系企業のマーケティング本部長、BtoBやPRに強くベンチャー支援も手がける

デジタルマーケティングの専門家としての柿野氏の強みは、逆説的だが「デジタル以外のマーケティングをよく知る」点だ。

柿野氏は、今でこそネット広告はもちろん、マーケティングオートメーションやABM(Account Based Marketing)といった最先端のマーケティング手法で実績を出し、ベンダーのイベントで講師まで務める業界第一人者だが、彼がマーケティングを学び始めた2000年代前半は、派手にイベントを打ち、新聞広告を出し、キャラメル広告電車を走らせ、テレビCMを作り、ダイレクトメールを大量に送って……という、いわゆる「どぶ板マーケティング」が当たり前の時代だった。

そして現在、デジタルマーケティングが当たり前になり、DSPやクラウド型マーケティングソリューションをどの企業でも同じ様に使えることで「デジタルだけでは差がつかなくなった」からこそ、オンライン・オフラインの両方を見てきた彼のバランス感覚が活きてくる。

勝機は「デジタルのさらに先」にある。

柿野氏がトップを務める部門は現在、マーケティング・コミュニケーション、PR、インサイドセールスを統括しているが、日本企業ではこれらの部門がそれぞれ独立していることも多い。

顧客や見込み客を中心に考え、オンライン・オフラインあらゆる接点を横断的に設計する俯瞰的な視点が、現在のデジタルマーケティング戦略を考える上では必須である。彼の管掌する部門が、B向けクラウドソリューションのマーケティング本部でありながら、PR業界の権威、国際PR協会「IPRAゴールデン・ワールド・アワード」日本初の最優秀賞を日本で初めて受賞した事実とその後の売上が何よりの証拠である。

SAP・コンカーという経歴上、法人向けの戦略とエグゼキューションに特化している面もあるが、昨今のネットサービスでもリボン型ビジネスではアライアンス開拓は必須であるし、業界特化型の法人向けバーティカルSaaSも次々と現れている。

このような環境下、柿野氏のような全体俯瞰できる貴重な人物のサポートを受けることができれば、その経験と知見から多くの失敗や損失を避けられるのではないだろうか。

元DeNA デジタルマーケティング部部長 佐藤 基氏

マーケティングスタジオ ONNEの共同創業者。

佐藤 基 / 元DeNA 事業部長、マーケティングの専門家

ONNEは、株式会社ではなく有限責任事業組合というスキームを採っている。参加するメンバーはそれぞれ独立した専門家なので、佐藤基 氏の他にも様々な専門分野を持つマーケターからニーズに合わせた提案を受けられる柔軟性が特徴だ。

佐藤基 氏は、2011年DeNA入社。入社後は一貫してモバイルビジネスのマーケティングを担当しており、在職時にはマーケティング部門の責任者を務めた。デジタル、モバイルという領域で見た場合、実績・経験としては間違いないだろう。

逆転オセロニアなど大規模タイトルを担当しており、立ち上げ期の戦略設計から運用・成長フェーズまで幅広く相談できる。

また、同氏が近年注目しているのは YoutubeなどのSNSを活用したマーケティング。マーケティングで利用できるチャネルは多岐に渡るが、リリース後の拡大期、成熟期に向けた中長期的な施策として持続的な顧客接点の重要性が増している。

佐藤基は、このような新しい手法もテストし、セミナー・講演などで積極的に情報発信している。

CMOを目指す方向けの書籍

これからCMOを目指す方に有用と思われる書籍を何冊か紹介する。CMOの業務領域は非常に広範なため、1冊にまとめられているものは総論的な内容となっている。また、CIOやCTOに比べると歴史の長いジャンルであり、古典から最新テクノロジーを活用したものまでも膨大だ。

紹介しているのは古典ばかりだが、最新のマーケティングに関してはソーシャル、MA、AI、データドリブンなどジャンルが多すぎて正直紹介しきれない。

先端マーケティングから入ってあとから基礎を学ぶのもよいし、最初にきっちり背景を勉強してもよいだろう。

CMO マーケティング責任者


CMOをテーマに書かれた数少ない書籍。

2006年に出版されたものだが、当時の数字で米国CMO設置割合が40%超、日本国内が5%とされている。前半はCMOが設置された背景やその役割、広範はインテルやヤフー、P&Gなど実際のCMOへのインタビューで構成されている。

内容は古いが、CMOをテーマにした日本語の書籍はとても少ないので貴重な存在ではある。内容的には、2006年当時と2019年現在とではマーケティングを取り巻く環境がデジタルやスマホの影響で大きく変わった。CMOの役割もそれに応じて変わっているので、その分を考慮してよんでいただきたい。

世界標準の経営戦略 入山 章栄

マーケティングに関する書籍ではないが、以下に紹介した「競争の戦略」を読むのであればこちらをあたったほうが手軽かもしれない。

古今東西の経営理論が厳選されて30紹介されている。

800ページ以上ある分厚い大作だが、個々の理論を読むのに比べてエッセンスをスピーディーに吸収できる。何よりもSCP理論のポーターとRBVのバーニーのように、同じ経済学出身の学者同士で論点を比較したり、ポーター・バーニーと心理学をベースにしたカーネギー学派など、論理横断的な構成ならではの発見や体系的な観点が身につくのは素晴らしいと思う。

マーケティングの領域が広がり、最終的に経営に近いポジションを目指すのであれば読んでおいて損はない一冊であると感じる。

競争の戦略 マイケル・E・ポーター

代表的なマーケティングの古典。

3つの基本戦略やファイブフォース分析、製品ライフサイクルごとの競争環境など、だれもが一度は聞いたことのあるフレームワークやマーケティングのエッセンスが詰まっている。

この本も初版は1982年の発刊だが、書いている内容の本質はいまも色褪せることなく読み返すたびに新鮮な驚きを与えてくれる名著。デジタルネイティブ世代にもこの1冊は読んでほしい。

コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則

フィリップ・コトラー(Philip Kotler)は、アメリカ合衆国の経営学者(マーケティング論)。

「近代マーケティングの父」と呼ばれ、顧客のセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングを説くSTP理論や、マーケティングの4Pなどが有名。

前述のような戦略フレームはマーケティングの教科書でも学ぶ機会が多いが、マーケティング3.0は行き過ぎた競争戦略による消耗戦を繰り広げる現代のマーケティングに対してのアンチテーゼを含んでいる。

どう著では、CSV(Creating Shared Value=共有価値の創造) を通じて生活者の心に訴えかけ、感情的な結びつきと長期的な信頼を獲得し、協力者となってもらうことで持続的なマーケティングを実現する方向性を説いている。

キークエスチョンは、いかに社会の共感を得るか。

グロービス MBAマーケティング

グロービスMBAシリーズのマーケティング版。

ケーススタディを通じて基本的なマーケティング・プロセスや、環境分析の方法、前述のコトラーが開発したSTP、ブランド論などの基本的なマーケティング論を網羅的に学ぶことができる。

改訂の版を追うごとにCRMやデータ活用といったデジタルの潮流も追加されてきており、古典とモダンをコンパクトに学ぶことができるだろう。

ブランド論 デービッド・アーカー


カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院名誉教授(マーケティング戦略論)、デービッドデイビッド A.アーカー(David A. Aaker) の著書。

同氏が1994年に発行した『ブランド・エクイティ戦略』によって、ブランドエクイティという概念をはじめて唱えた彼の基本原則がまとめられている。アーカーを読んだことのない人でもブランドビジョンやブランドパーソナリティなどの用語は効いたことがあるだろう。

マーケティングの現場でも、アカデミックなブランド論を知らないと大企業の現場や広告代理店の大御所からは刺されることがよくある。ブランドを主戦場としない人でも抑えておいて欲しい。

同書の翻訳を務めた阿久津氏の「ブランド戦略論」も名著なのでぜひ。