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DX推進の肝、基幹システム刷新のポイントとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)が国をあげて推進されている近年の日本において、”基幹系システムの刷新”というテーマには乗り越えるべき課題が多く、また複雑さも孕んでいる。この記事では、基幹システムのDX化を推進する上で理解しておくべきポイントを、背景も含めて解説する。 
 

日本企業の基幹システムが抱える問題点

そもそも基幹システムとは、生産管理、販売管理、購買管理、在庫管理、会計、人事等の会社の基幹業務をコンピュータで管理するシステムの総称のことであり、日本ではおよそ90年代から導入が進んできた。

導入が進展してきた一方で、多くの日本企業は、単なるレガシーシステムの刷新以上の付加価値創出を目指すDXの水準では、基幹システムを活用できていない。あるいは保守運用コストの増大がDXの阻害要因になっている現実がある。その原因として、日本企業が抱える以下の3つの問題点が考えられる。

1. そもそもサプライチェーンにおいて基幹システムの導入率が低い

日本では財務や会計、人事や給与などのバックオフィス系の領域ではパッケージシステムの導入が進んでいるが、仕入れや製造、販売管理などのサプライチェーン領域においては海外と比べて導入が進んでおらず、販売管理・生産管理領域の100億円以上の売上規模の製造業に限ってみると、3~4割程しか導入されていない状況がある。

これには日本の製造業の特徴である現場主義が関係している。現場単位で繰り返される“改善“に対応するため、業務データが現場の人間によって部分最適化されており、そのスピード感と機能レベルにパッケージシステムが追いつけていない、という実情がある。

日本の製造業のサプライチェーンにおける情報のやりとりで最も広く使われているのはExcelなどの表計算システムであり、ツール自体の安価さや容易なカスタマイズ性から重用されているというのがわかりやすい例だろう。一方海外では、円滑に業務を行うためにはルールやERPのような標準的なツールが必要とされ、基幹システムの導入が進んだ。日本とは対比的に、パッケージベンダーの提唱する「パッケージシステムに業務(人間)を合わせる」ということが実現できているのだ。

2. 各基幹業務データの偏在化

人事や給与などの基幹システムはデジタル化ができているところが多いが、それら各基幹業務データを、横断的に連携・活用できておらず、蓄積したデータが社内に偏在していることも大きな課題だ。

日本では各基幹システムはスクラッチで構築、もしくは別個のパッケージシステムを採用している企業が多く、そもそも各組織における連携が難しい。また、SAP製品のような統合基幹業務システム(ERP)を導入している企業であっても、業務データは部門ごとに個別最適化され、システム連携が不十分であることが多い。DXで実現すべきデータ、ないしはビッグデータ活用に繋がるような基礎データの連携・活用がなされていないのが実情である。

3. 迫りくる「2025年の崖」問題

3つ目は、経済産業省が発表した「DXレポート」で触れられた『2025年の崖』問題というリスクである。これは、上でも触れたような既存システムが事業部門ごとに構築されたことによるデータの複雑化・ブラックボックス化、レガシーシステムの維持管理費の高騰による技術的負債の増大化、保守運用者の不足等によるセキュリティリスクの増加という課題を解消できない場合、2025年以降、最大12兆円/年の経済損失、企業平均で年314万円相当の経済損失が生じる可能性があるという問題提起である。日本では2018年の時点で約8割の企業がレガシーシステムを抱えており、まさに喫緊の課題である。

SAP 2027年問題

全社の経営資源を一元管理するERP製品でトップシェアを誇るSAP。SAP社はIDC Japanによる、日本におけるERP製品ベンダーシェアに関する調査(2018年度)でも1位を獲得し、全世界ベースのシェアでもトップを誇るERPベンダーだ。このSAP社のメインERP製品である「SAP ECC」のメインストリームサポートが2027年に終了することが通称「SAP 2027年問題」である。(※元は2025年が終了期限だったが、後に延長を発表した)

これに対し企業は何らかの対応を求められるが、その方法は①スクラッチでの基幹システムの再構築、 ②正規保守が切れたSAP ECCの利用継続、③その他のERP製品の導入、そしてSAP社が推奨している④SAP S/4HANAへの移行である。

SAPの次バージョン「S/4HANA」の特徴

S/4HANAは、SAPの説明によると、”AI、機械学習、高度なアナリティクスなどのインテリジェントテクノロジーが組み込まれた、将来を見据えたエンタープライズリソースプランニング(ERP)システム” であり、従来のSAP ERP機能をカバーしているだけではなく、以下の特徴が挙げられる。

・インメモリーデータベース技術の全面的な採用により高速なデータアクセスを可能に。ほぼ全ての業務において高い処理速度を実現する

・分析もレポーティングもすべて同じ基盤で完了。経営意思決定に欠かせない判断材料をスピーディに提供してくれる

・オンプレミスはもちろん、パブリック、プライベート、ハイブリッドの3形態のクラウドで導入可能。Microsoft Azureなどにも対応している

・UX設計の大幅な改良。ユーザーごとのロール別画面を設計することで、業務効率のアップに繋げる

一般的なレガシーアプリ刷新方法

SAP ERPだけではなく、一般的なレガシーシステムの刷新方法についてもふれておきたい。代表的な対応は、以下の3つに分けて考えられる。

・リホスト:現行のプログラム・アプリケーションロジックを、同じ言語で原則そのまま新規基盤へ移行

・リライト:現行のプログラム・アプリケーションロジックをもとに、別の言語で異なるプログラムを実装

・リビルド:アプリケーションの再設計、プログラムの全面的な再構築を実施。データのみ変換・移行

DX時代の基幹システムに求められるものとは

2018年の「DXレポート」から2年、2020年に改めて経産省が「DXレポート2 中間取りまとめ」を発表した。

ここでは「先般のDXレポートによるメッセージは正しく伝わっておらず、『DX=レガシーシステム刷新』、あるいは、現時点で競争優位性が確保できていればこれ以上のDXは不要である、等の本質ではない解釈が是となっていたとも言える。」と述べられている。その上で、急速なデジタル移行を前提として、”データとデジタル技術を活用”して”業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土”も含めたビジネスの変革がDXには必要だと訴えている。またDXレポート2では、コロナ禍をうけて、『素早く』変革『し続ける』ことが強調されている。

これらを総合的に考えると、正確性や堅牢性が求められる基幹システムにおいても、流動性の高い他の情報システムや業務システムとの連携性を高め、アジリティ高くビジネス変革に伴走できることが求められるだろう。

DX時代の基幹システムの、リアルタイム性、クラウド連携、ビッグデータ

基幹システムが本質的なDXに対応できるための要素として、以下3つが考えられる。1つは、旧来的なバッチ処理からリアルタイム処理への移行である。コンピュータの処理性能が向上し、SAP HANAやApache Hadoopなど、大規模なデータ処理が実現できるアーキテクチャも確立されている中で、現場の情報を瞬時に分析・戦略策定に転換する基盤として、基幹システムのリアルタイム性担保は重要な要件といえるだろう。

また、基幹システムがオンプレミスの密結合である状態からクラウド化することの意味は大きいだろう。ERP、CRM、コラボレーションサービス等、近年のクラウドサービスはどれも疎結合でつなぐコネクタを数多くサポートしている。適切にサービスを連携することでビジネス全体にレバレッジが効き、またコスト面の優位性も高いだろう。

基幹系システムが持つ定型的な業務データと、製造実行システムやCRM、SFA等の周辺系システムのデータを連携し、ビッグデータとして活用することで、今まで得られなかった顧客行動に関するインサイトや新規ビジネスの種の発見に繋がる可能性もある。

基幹システムの刷新・DX化の相談に、シェアボスという選択肢

ここまで述べたような”基幹システムの刷新・DX化のノウハウを持つ人物”は、伝手を使って探したり、エグゼクティブマッチングサービス/ヘッドハントを使って探す方法が考えられるが、そもそも対象となる人材の母数が小さいため、なかなか希望にあった人材が見つかる・マッチングすることは難しい。

そこでおすすめなのがシェアボスである。シェアボスはハイレベルなDXプロジェクト経験者を月2回からアサインできるため、採用より早くて確実だと言える。また、実務経験者が揃っていることも特徴で、シェアボスの経験豊富なプロ人材に基幹システム刷新プロジェクトの人材教育を任せるという手段もある。一回のアドバイスが15万円からとリーズナブルで、無料相談も可能なのでぜひ一度ご検討いただきたい。

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