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トレンドワード『DX』とは?
そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、2004年にスウェーデンのウメオ大学教授・エリック・ストルターマンが提唱した「ITの浸透により、人々の生活が根底から変化し、よりよくなっていく」ということがその原義である。現在では主に経済・ビジネスの文脈で使用されることが多く、日本でも経済産業省の「DX推進ガイドライン」(2018年12月)の発表や、デジタル庁の新設(2021年9月)などが進められ、国をあげてDXの機運が高まっていることがわかる。
DXは、単に付加価値の1つとしてデジタル化を捉えるのではなく、あまねく外部環境にデジタルテクノロジーが浸透し、競争環境からビジネスモデル、組織のあり方までの根底が変化すること。及び、その脅威/機会への対応に迫られるパラダイムシフトと捉えるべきだろう。競争優位性の再定義が迫られ、デジタルを前提とする変革があらゆる企業で推進されている。
CMO(最高マーケティング責任者)とは
CMOとは「Chief Marketing Officer」の略で、最高マーケティング責任者の意である。それぞれの組織で役割が異なること場合もあるが、マーケティング活動の効率化・最適化を行い、経営戦略にマーケティング戦略を融合させるという点はおよそ共通している。
21世紀に入り、リーチできる顧客データが増大し、顧客起点でのマーケティングの選択肢が広がっている。その中でCMOは、自社のサービス・プロダクト・ブランドのフェーズごとに最適なデータを見極め、顧客とコミュニケーションするプラットフォームを選定した上で、各施策の実行を統括するという役割を担う。データの目利き力を前提に、マーケティング活動全体を統括できる総合力が求められるのだ。
CMOが向き合うDX時代のマーケティングとは?
社会のデジタル化に伴って変化するマーケティング環境を解説した上、そんなDX時代のCMOに求められる資質・観点を整理したい。
勢いを増すデジタルマーケティング
2020年、新型コロナの影響で日本の総広告費は前年比88.8%まで減少し、これは2009年リーマンショック影響(前年比88.5%)に次ぐ低水準であった。
テレビ・新聞などの4マス(前年比86.4%)や、交通広告やDMなどのプロモーションメディア費(75.4%)が軒並み前年比を割る中、インターネット広告費は前年比105.9%(2兆2290億円)と高成長を続いている。市場全体における割合も4マスの36.6%に肉薄する36.2%まで伸長した。
コロナ禍において、かねてから遅れている日本のデジタル化(例えばBtoC市場のEC化比率は、日本は約7%で、アメリカが約10%、中国は約35%)が、投資効率の最適化、見える化の要請に答える形で進展しており、これは不可逆な潮流とみて間違いないだろう。
進む広告媒体・ツールのデジタル化
通信環境・速度が飛躍的に向上したことで、広告媒体やツールについてもデジタル化が進んでいる。ディスプレイ広告などのアドネットワークはもちろん、従来はオフラインが基本だった屋外広告、交通広告などのOOH(Out Of Home)やテレビ等のメディアのデジタル化・計測可能性の向上が日々前進している。
一方でそれら各デジタル媒体の広告効果や見込み顧客を一元管理して可視化する所謂マーケティングオートメーションツールの市場も伸びている。DX時代のマーケター及びCMOは、これら複数のデジタル媒体やツールを自在に使いこなし、ネクストアクションを判断する力が求められる。
マーケティングへのビッグデータ・AIの導入
2010年頃から活用が本格化したビッグデータ。ビッグデータは「データ量」「データ生成速度・頻度」「データの多様性」に強みを持ち、様々な分析へと活用できる。
DX時代では、たとえば普段の買い物や飲食店での注文から、購買行動に関わらない生活行動や視聴履歴まで、オフラインで行われている行動も含め全ての行動がデジタルデータ化して個人に紐付き、収集されうる。
これらの行動データを適切に利活用することは現代マーケティングにおいて重要だが、データの量・速度・多様性への対応難易度は高まっており、この対処のためにAI(人工知能)活用が進んでいる。AIはデータ集計と加工のスピードを向上させ、効果予測の精度も向上する。マーケターは、AIによりサジェストされた顧客のインサイトと自分が持つ定性的な知恵を総合的に評価し、打ち手を判断する必要がある。
プラットフォーマーとの付き合い方
アド運用やSEO対策、CRMなどのデジタルマーケティングを行う場合、GAFAに代表されるようなプラットフォーマーを理解し、最新の情報・動向を把握しておく必要があるだろう。
たとえばSEO(検索エンジン・順位の最適化)におけるGoogle検索アルゴリズムの理解。Apple社がiOSを更新し、リターゲティング広告に使用できるユーザーの行動データが制限されていくこと。あるいはLINE広告における広告ガイドライン等々、例に上げると枚挙にいとまがないが、これらプラットフォーマーが敷く基本ルールや特性の理解は現代のマーケターやCMOにとっての一般教養といえる。
また、各媒体の動向をしっかり掴んでおくため、場合によっては各プラットフォームの担当者と適切なコネクションを作り、折衝する能力が求められるのもDX時代のCMOの特徴と言えるだろう。
DX時代の代理店・コンサル・パートナー活用
スタートアップ企業やベンチャー企業では、アド運用などマーケティング実務をインハウスで行うことが多いだろうが、予算やリソースの状況によっては代理店を利用することもあるだろう。また、大手の事業会社では代理店活用は当たり前になっており、適切な緊張感を持った関係性構築が求められる。
広告代理店やマーケティングコンサルの専門性を最大限引き出すためには、自社が意図するマーケティングプランを明確にしてブリーフィング・オリエンテーションを行うことが必要だ。いくらデータドリブンな調査やプランニングを要求しても、示す方向性が曖昧であれば、代理店のアウトプットの質も最大化されないだろう。
AIにできないCMOの目的志向
マーケティングへのAIの活用について上述したが、そもそも、AIというのはツール・手段である。活用をするには高品質なデータのインプットが必要であり、ゼロから新しい発想をすること、アウトプットをすることは現時点ではできない。
マーケティングや経営の使命を、クレイトン・クリステンセンのジョブ理論でいうjob(顧客が片づけなければいけないこと)の発見から解決に至るプロセスだと考えると、ここでは、人間的な洞察や経験に裏打ちされたセンスが求められる。量的な機械学習ではクリアできないこのある種クリエイティブな営みの専門家がまさにCMOと言えるだろう。
経営やマーケティングに目的や目指すべき価値を設定し、人材活用を含めて限られたリソースを組み合わせてリターンを最大化させる総合的・俯瞰的な取組みこそCMOに求められる。
CMOの採用を考えるなら
上述のような、定量的なデータ活用の理解と経験的なマーケティングの意思決定ができる人材は市場に多くいない。日本マーケティング学会が2019年に発表した論文によると、国内上場企業で役員級のCMOを設置しているのはわずか7.9%にとどまっている。
一方、2016年〜2018年に渡って行われた同学会の調査では、CMO設置企業はCMOを設置しない企業に比べて4.7%の売上増収効果をあったといい、その必要性を物語っている。
CMOの採用は、経営メンバーの伝手を使って探す、またはエグゼクティブマッチングサービス/ヘッドハントを使って探す方法が考えられるが、そもそも対象となる人材の母数が小さいため、なかなか希望にあった人材が見つかる・マッチングすることは難しい。
そこでおすすめなのがシェアボスである。シェアボスはCMO経験者やCMO候補者を月2回からアサインできるため、採用より早くて確実だと言える。また、シェアボスは実務経験者が揃っているため、CMOの社内育成を考える際も、シェアボスの経験豊富な人材に教育させるという手段もある。一回のアドバイスが15万円からとリーズナブルで、無料相談も可能なのでぜひ一度ご検討いただきたい。